生成AIとフィジカルAI WGを開催しました!(第6回・10月)

生成AIとフィジカルAI/ロボットワーキンググループ

2026年10月19日(月)、Zoomにて「生成AIとフィジカルAI/ロボットワーキンググループ」(第6回)を開催しました。

今回は「現場データ戦略とフリート学習」をテーマに、現場データを集めて活用し続ける仕組みについて情報提供と意見交換を行いました。

■ これまでの振り返り

これまでのワーキンググループでは、農業・インフラ・社会福祉・産業・物流の各分野におけるフィジカルAI展開のロードマップを策定してきました。前回(第5回)では、社会実装を担う体制づくりや、データの所有権・営業秘密・利用条件が整っていないといった課題を取り上げました。今回はこれを受けて、フィジカルAI導入に必要なデータ戦略、AIレディネス、フリート学習について学ぶ回としました。

■ 現場データを「外に出さずに」活かす

製造データや農業データは企業の競争力に直結するため、外部に提供することが難しい場合が多くあります。そこで、利用者が管理する工場・施設の中に計算機やソフトウェアを置き、データを現場に置いたまま価値を生み出す「データオンプレミス」型の戦略が提示されました。利用者はデータそのものではなく、データを活用して生まれた商材や価値を購入する、という考え方です。

あわせて、次のような論点が紹介されました。

  • ロボット関連部品メーカー、製造業向けの企業、設備商社、地方銀行・保険会社、業界団体・学協会などが、データの収集・活用の担い手になり得ること
  • 現場にはデータ処理の専門人材が少ないため、現場データを使える状態にするプラットフォームや、オンプレミスで使える基盤モデルが必要であること
  • 大規模な基盤モデルをそのまま使うのではなく、「蒸留」によってオンプレミス向けのモデルをつくる方法(オープンソースモデルを基に、自社データから教師データを生成して学習させる等)。ただし商用モデルを利用する場合の扱いには注意が必要であること
  • 汎用モデル、領域特化モデル、個社モデルという構造のなかで、個社モデルは基盤モデルの完成を待たずに並行して進めることが重要であること
  • 設計文書、議事録、メール、図面、画像、3D CADなどに分散した情報を、構造・サイズ・意味づけ・品質を整えてAIが活用できる状態にし、統一的に管理・継続改善していく取り組み

■ フィジカルAIのレディネスとフリート学習

フィジカルAIの価値は機体の性能だけでは決まらず、導入前の「レディネス(準備状態)」の設計と、導入後の現場経験を組織の能力に変えていく学習の仕組みが重要であるとの説明がありました。同じAIを工場、本社システム、工場長のPCなど複数の場所で使えるため、フィジカルAIは複数拠点・複数台での「フリート学習」へと自然に発展し得るといいます。

導入前に確認すべきAIレディネスとして、次の3つの軸が示されました。

  • データ・文脈のレディネス:現場データの意味・用途・条件・来歴を、AIの観測・判断・学習に使える形で整備する
  • ガバナンス・運用のレディネス:権限と適用範囲を定め、統制・監査・報告・改善・展開を継続できるようにする
  • 実行・物理環境のレディネス:物理環境で安全かつ安定して動き、業務システムと整合し、失敗時に復旧できるようにする

また、物理的な行為は取り消しがきかないことから、安全管理機能をAIの経路から独立させること、不可逆な行為の承認条件、通信断時の縮退動作、失敗時の物理的な回復手順、適用法令・規格の特定とリスクアセスメントが必要であると指摘されました。

フリート学習では、複数の現場で得た経験を「候補知識」として集約し、検証と人による承認を経たものだけを再利用します。現場ごとの差異も次の学習材料とすることで、台数や拠点が増えるほど組織の能力が高まっていく仕組みです。データは集めるだけでは価値にならず、取得する対象・粒度・文脈・保持方針を定義し、検証・承認・段階的な展開を繰り返す学習ループが欠かせないとされました。

導入にあたっては、事業目的と対象タスク、3つのレディネス、フリート学習の承認ルートと基準、導入ゲート・KPI・体制、限定導入(PoC)からのロードマップをあらかじめ設計しておくことが提案されました。特殊技能の継承だけを目的とする場合を除き、1台の導入で終わらせず、将来の複数台・複数拠点への展開を前提に設計することが望ましいとのことです。

■ 参加者からの意見

建設業界の参加者からは、ヒューマノイドロボットを生産分野や建設現場にどう取り込むかが身近なテーマであるとの発言がありました。人がいない時間帯にロボットが作業を進めることや自律的な搬送への期待がある一方、現時点では複数の作業を同時にこなせないこと、重量物を十分に扱えないことが課題として挙げられました。粉塵や汚れが多く重量物の運搬も伴う建設現場では、ヒューマノイドやフィジカルAIの活用にはまだ多くの課題があるとの認識が共有されました。

■ 今後に向けて

RobiZyでは、政府・政策関係者への働きかけを継続して行っていきます。政策提言に関するご意見は、参加者の皆さまからも随時受け付けています。働きかけの進捗は次回のワーキンググループで共有する予定です。

次回は11月の開催を予定しています。日程・内容が決まり次第、改めてお知らせします。