第1回最先端スマート林業シンポジウム



2017年8月2日(水) 東京電機大学千住キャンパスにて『第1回最先端スマート林業シンポジウム~儲かる林業の実現に向けたロボット&IoTの活用』を開催しました。
主催は東京電機大学、三井住友海上火災保険株式会社、後援は埼玉県、RobiZyプロジェクト事務局、スマート林業勉強会です。
200名ほどの林業関係者、ロボット関係者、大学、自治体様々な方にご参加いただき、講演会、ブース出展、ポスターセッション、懇親会まで大盛況となりました。








          

開催あいさつは、東京電機大学 産官学交流センター センター長 清水康夫氏、三井住友海上火災保険株式会社 公務開発部 部長 源田 浩氏です。
スマート林業に対する大きな期待の言葉を頂戴しました。





■第1部 基調講演 1
三井住友海上火災保険株式会社北河博康氏の「ロボットビジネス最前線」です。
三井住友海上火災保険株式会社は世界中にネットワークを持っています。販路拡大に有効活用できます。
これまで手掛けてきたロボットビジネスに、農業界での取り組みがあります。IoTを進め、省力化に貢献しています。若者を取り込む施策や大企業とのコラボなども企画しています。 瓦礫を乗り越えるロボット、配膳ロボット、トマト収穫ロボット、イチゴ収穫ロボット、マッスルスーツ、ドローン、農薬散布ロボット、豚舎洗浄ロボットなど様々なロボットのコーディネイトをしてきました。
これからはRobiZyプロジェクトでユーザ側と開発側をつなぐ役割を担っていきます。RobiZyではマッチングサービスの提供、ロボットビジネスのコーディネイト、ロボットビジネスの啓発活動などを精力的に行っていきます。





■第1部 基調講演 2
株式会社アドイン研究所代表取締役佐々木浩二氏の「スマート林業の実現に向けて」です。
アドイン研究所では森林3次元計測システム「OWL」を開発しています。画像データではなく、加工可能なデータを取得します。1回のスキャンに必要な時間はわずか45秒で20㎡のデータ取得するのに必要な時間は10分程度です。
その場でデータ結合、確認が可能です。1人でも簡単にデータ取得が可能です。また遠隔地からの3次元の森林データを確認できるため、大きな導入効果が期待できます。
IoTによるリアルタイム処理での高収益化、AI、ディープラーニングによる高付加価値を実現し、ドローン、枝打ちロボット、アシストスーツなどとの連携をし、林業のプラットフォームを作ることを目標としています。

  


■第1部 基調講演 3
東京電機大学未来科学部准教授岩瀬将美氏の「スマートフォレストIRT」です。
もともとロボットやメカトロニクス、機械分が専門で、林業にどうすれば役立てるかを考えていたところ、ドローンに行きつきました。ドローンを使ってまず森林の見える化に取り組んでいます。
埼玉県から補助金を得て、ドローン企業、計測システム提供企業と自治体などのユーザサイドとの組み合わせをすることにより、ビジネス化を進めています。林業といえば儲からないイメージが大きいが、いろいろなスタイルがあり、工夫することで儲ける仕組みづくりができます。日本の国土の70%は森林であり、ポテンシャルは大変大きなものです。
本研究室では様々な企業に協力していただき、エンジン型ドローンを開発しています。エンジンが1つですべてのプロペラに同期しており、長時間走行が可能で、風の影響も抑えられます。かご型のドローンは木にあたっても墜落することなく飛行が可能です。
木の位置や形状を正確にデータ化し、国内木材生産量の増加、そして林業の活性化を目指して活動しています。

  


■第2部 通常講演 1
秋田県仙北市総務部地方創生・総合戦略統括監小田野直光氏の「仙北市におけるドローン等の近未来技術に関する取り組み」です。
仙北市は角館町など有名な観光地がありますが、深刻な人口減少、少子高齢化に陥っています。魅力的な街づくりをするためにも新しい産業を創っていく必要があります。
国家戦略特区に認定されており、地方創生特区にも指定されております。規制緩和メニューを活かして新しい産業の取り組みを行っています。その中に国有林野活用促進事業があります。
近未来技術を活用した新たな産業づくりとしてドローンを活用した取り組みを始めています。ドローンレース、図書の配送試験、ドローンスクールなどの人材育成、ロボットプログラミング学習、ドローン空中撮影などを通してコミュニティ作りにも貢献しています。
災害時におけるドローン活用にも取り組んでいます。状況確認にドローンを利用し、効率的に情報収集ができました。
仙北市では近未来技術を活かして様々な取り組みを行い、地方創生を行ってまいります。

  


■第2部 通常講演 2
静岡県浜松市産業部林業振興課課長補佐鈴木久仁厚保氏の「浜松版グリーンレジリエンス」です。
浜松市は日本三大人工美林の一つである天竜材を保有しており、面積の66%が森林です。浜松版グリーンレジリエンスとは持続可能かつ適切な天竜美林の管理と地元木材を活用した新事業創出、木材利用拡大を目的とした取り組みです。地産地消、地産外商の2方向で取り組んでいます。森林を循環利用し、すべてのサプライチェーンにかかわる事業者が利益をとれる仕組みづくりを目指しています。
ICT、IoT技術を利用して木材の情報を共有化する取り組みを実施しています。非効率な作業を軽減し、正確な共有情報を提供することを目的としています。またドローンを利用した森林情報の取得を行い、業者同士互いの情報を共有することで、新しい関係性を構築し、ビジネスにつなげていきます。
儲かる、儲けるビジネスモデルの構築を目指し、出口戦略として流通路の拡大を行っています。ターゲットや目的を細分化することにより、より成功するビジネスを創造していきます。森林は宝の山にできます。成長産業となるように精進します。


  


■第2部 通常講演 3
合同会社ツクルCEO三宅創太氏の「地域経済における林業の役割と活性化の実例」です。
地域においてビジネスロジックをどう組むか、地域経済をどう活かしていくか、ビジネスモデルをどう構築するかということにフォーカスしてビジネス支援を様々な地域で行っています。 地域経済はインバウンドとアウトバウンド、ローカルマーケットで成り立っています。インバウンドとアウトバウンドをしっかり構築していくことでローカルに収益を落としていくことが重要です。
アウトバウンドの例として小田原ヒルトンでも木材を活かした雑貨がありました。インバウンドと組み合わせることで、結果的に森を守り、海外客へのプロモーションにつながっています。 ローカルマーケットの例として西栗倉で木材をエネルギーに変える取り組みを行っています。地産地消の好例です。 インバウンドの例として企業研修の実施や視察ツアーなどがあります。
このような地域経済にロボティクス、ITなどをどう活用していくか、原点に立ち返って考えていく必要があります。

  


■第2部 事例紹介 1
港産業株式会社執行役員野口栄美氏の「アシストスーツ活用の可能性」です。
港産業株式会社では様々なサービスロボットと扱っています。アシストスーツはそれぞれのメーカがモータ式、風圧式など様々なものをニーズに合わせて製造しています。腰痛予防は現場で大変重要で、医療費も重なり、長期化するとお金の負担も大きくなります。
株式会社イノフィスが開発しているマッスルスーツは中腰での作業をサポートするものです。ばねのような空気圧式人工筋肉が駆動源となっています。建設現場や農業、また水に濡れても大丈夫なため、森林や工場での使用、また介護現場でも使用されています。
また課題として価格が高い、重い、アシスト力が弱い、費用対効果が測定しずらい、装着が難しいなどの声を聞きます。一方でメリットとして業務負荷軽減、腰痛予防、労働環境の改善、企業イメージ向上などが見込めます。
人手不足が深刻化している中、アシストスーツは様々なシーンで有効利用できる存在です。

  


■第2部 事例紹介 2
株式会社エンルートラボ代表取締役伊豆智幸氏の「国内最先端のドローン企業」です。
ビジネスで利益を出していくには独占できるかどうかにかかっています。ヒントは他人が考えていないことを考えることです。そして独占するには技術力が不可欠です。
開発しているドローンは風に対して強く、木などの障害物にぶつかっても問題なく走行します。山や川を越えていくときに一緒に測量をすることで新しい仕事を生み出し、お客さまの困り事の解決がビジネスにつながります。またAIを活用して独自判断をしようとしています。収集したデータをどう有効活用するか、そこに一番ビジネスの可能性があります。
また火山など自然災害の状況確認、捜索/救助の場面、災害調査、警備など、様々な場面でドローンは活躍しています。 浜松市、大分県などと連携し、様々な取り組みを行っています。

  


■第2部 事例紹介 3
岐阜大学工学部機械工学科特任教授・名誉教授川﨑晴久氏の「枝打ちロボットの研究開発」です。
枝打ちロボットは森林環境の保全、健全化に役に立ちます。今までも様々な枝打ちロボットがありましたが、重たい、木の上まで持って行かなければならないなど、課題も多く存在しました。枝打ち作業を安全で効率的に行い、林業作業者と同等の品質で軽量、高信頼性、環境変化に頑健なロボットを開発しています。自重を利用した昇降機能、枝噛み防止機能のあるチェーンソー、故障時等の降ろし機構など独自の機能を搭載した枝打ちロボットを開発しています。
今後ロボットが現場で作業した際に情報収集をして利用するなど、さらなる広がりを検討しています。

  


■第3部 パネルディスカッション
ファシリテータはRobiZyプロジェクト事務局長伊藤デイビッド拓史氏、パネリストは東京電機大学岩瀬将美氏、株式会社アドイン研究所佐々木浩二氏、三井住友海上火災保険株式会社北河博康氏、静岡県浜松市鈴木久仁厚氏で「スマート林業ビジネスの展望について」というテーマです。

  

伊藤氏:人材不足や少子高齢化、また未来投資戦略でも謳われている通り、様々な分野でのロボット化は必須となってきます。アトムのようなヒューマノイドロボットではなく、機能に特化したものや、ソフトウェアロボットなども出現してきています。ハードだけでなく、システムとの融合が儲かる仕組みづくりに役立ちます。そこで、林業分野にはどのようなロボットが有効でしょうか。
岩瀬氏:ニーズは現場にあります。屋外での作業、体温の管理、熱中症対策、害虫対策など、プラスアルファで何かできるとよい。費用も考慮したうえでできることを整理し、どうやってスタートしていくか、検討が必要です。
北河氏:農業、物流、建設など様々な分野でロボットを見てきました。ロボットは導入しやすい環境になっていないと導入が難しい。ロボットを含めたすべての循環の中で費用対効果を鑑みた仕組みを構築していく必要があります。
佐々木氏:マーケットはあるのか、実現性はあるのか、収益性はあるのか、これらを考慮してロボットを導入していく必要があります。効果が十分であること、価値が高いものを一連のプロセスをしてロボット化していくことを考えることが重要です。林業の分野でも共通制度の整備などで最大限資源を有効利用することができます。
伊藤氏:事業全体として事業構想を考えることが重要です。
鈴木氏:現場に近い立場として、ロボット化は必須と考えます。今までは作業しやすい所でロボットを利用していたが、今後は道も狭く、人が入れないような場所でも利用できるロボットが必要になってくる。ロボット、IoTで解決できるように、現場に入っていってニーズを聞く必要があります。
伊藤氏:機械を現場まで運ぶロボットなど、現場で必要なロボットを確認する必要がありますね。

伊藤氏:今後林業ビジネスを発展させていくために必要なことは何でしょうか。
佐々木氏:海外の事例を見ると、共通的の問題をみんなで解決しようとしています。政府がサポートを全面的にし、産官学連携して取り組みをしていく必要があります。
岩瀬氏:ロボットを導入するには法規制の問題など、様々な課題があります。色々な人が状況を知った上で参入してくるとテクノロジーの発展にもつながります。
北河氏:どこか強い組織が業界を引っ張っていく必要があります。モデルとなる人、ケースが必要です。日本でのモデルケースを作っていき、様々な分野の人が関わってくることで、現場での意見を取り入れ、改良して改善していく、それを実施する組織です。
鈴木氏:川上から川下まで、すべての業者が一同に集まれる場を作りました。それによりお互いがつながれて、協議会などを開催し、ビジネス発展に有効利用されています。
伊藤氏:ユーザ側、メーカ側を巻き込みながらビジネス構築をしていくことが重要となってきます。

■ブース出展
今回のシンポジウムでは最先端の技術を持つ企業様がブース出展をされています。こちらも来場者様に大好評で、多くの方々が訪れて出展者とお話しされていました。

株式会社アドイン研究所『森林管理作業を飛躍的に省力化する森林3次元計測システム「OWL(アウル)」』
3次元計測データがどのように見られるのかをディスプレイで確認していただきました。計測機器も一緒に展示しました。

  


株式会社イノフィス『腰を守り、作業負担の軽減に役立つマッスルスーツ』
実際に装着していただき、どれだけ負担が軽減されるか、体験していただきました。

  


東京電機大学・インダストリーネットワーク株式会社『林間を長時間飛行しながら森林計測する画期的なエンジン型ドローンを開発中(埼玉県補助事業)』
6軸エンジンヘリコプターを実際に目で確認していただきました。



RobiZyプロジェクト『特定非営利活動法人(申請中)ロボットビジネス支援機構のご紹介』
RobiZyで行っている様々な取り組みのご紹介と、これから予定しているイベント、活動などのご説明をしました。





株式会社レオニックス『インテリジェント枝打ちロボット開発のご紹介』
最先端の枝打ちロボットに関する研究開発のご紹介をしました。どのように動作するのか、今後の課題なども合わせてご説明しました。





富士通株式会社『IoTで作業者を守る安全管理支援サービス』
身体情報把握による農作業従事者の安全管理ソリューションをご紹介しました。





株式会社アドダイス『IoT×AIにより初心者でも管理可能にするSoLoMoNデバイス・テクノロジー』
養蜂業向けに IoTとAIを利用して革新的なシステムを提供した事例をご紹介しました。


■ポスターセッション
・三井住友海上火災保険株式会社『未来は、希望と不安で、できている。明日をつよく。三井住友海上』
・埼玉県秩父市『森林の循環利用・間伐材の有効利用・ちちぶ木の駅プロジェクト・秩父材・木育等のご紹介』
・静岡県浜松市『浜松版グリーンレジリエンス(FSC認証の推進)について』
・有人宇宙システム株式会社『衛星画像を利用した情報サービス「Digital Farming」』





シンポジウムの後の懇親会でも多くの方々にご参加いただき、活発に名刺交換や意見交換がされました。乾杯の挨拶は三井住友海上火災保険株式会社北河氏より、絞めの挨拶は埼玉県産業労働部先端産業課小暮氏よりいただきました。今後のスマート林業、またロボットビジネスへの大きな期待をいただきました。皆様の今後のビジネスの発展に今回のシンポジウムが少しでもお役に立つことを願っています。





RobiZyでは今後もこのようにロボットユーザ側とロボット提供側がつながるイベントを開催してまいります。皆様のロボットビジネスに貢献できますよう、活動の幅を広げてまいりますので、今後ともご支援いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。 皆様にご回答いただきましたアンケート結果は追ってご報告させていただきます。